「PDCA」

仕事のやり方として、海外に進出している日系企業の関連子会社では、「PDCA、PDCA (PlanDoCheckAction)」が叫ばれています。確かに、PDCAは、日常活動を続けて行く上で、とても効果的なマネージメントの道具(改善トゥール)になると言えます。しかし、私は、そのマネージメントの道具(改善トゥール)としてのPDCAの『教え方』に最近大きな疑問を持っています。その疑問とは、PDCAを教えるにあたって、「P」から始める必要があるのかと言うことです。そんな疑問が、スペインの日系企業で現地採用として働いてきているうちに、出てきました。本来、PDCAは、「サイクル」なので、『始め』も『終わり』もなくても良いのではとも、考えるようになってきました。少なくとも、スペイン人に対しては、最初の「P」で手古摺り、先になかなか進めなくなるよりも、「D」から初めて、「C」、「A」、そして、「P」に入り、「P」の作り方を「サイクル」を回す中で学ばせたほうが良いのではと考えるようになりました。なぜなら、そうすることで、スペイン人の強みである(時々、的を外れていることはありますが、)「行動力」を生かしながら、彼らの弱みである「計画性不足」を分からせることができるからです。つまり、「D」の後に、「C」と「A」を行うことで、自然と「次のP」が理解できるようになると考えるからです。そして、その流れの方が、スペイン人(現地人)には分かり易いのではと思えてなりません。そう思う理由は色々ありますが、本質的には、やはり、日本人とスペイン人(現地人)の間には考えの組み立て方に違い(*1)があるからと言う理由です。ですから、日本式にPDCAの順序で教えるより、PDCAの本当の意義や良さを習得しマネージメントの道具(改善トゥール)として使ってもらうためには、DCAPの順序で教えた方が理解し易く、学び易いのではと考えるようになりました。確かに、PDCAは、「計画と実績の比較」による『差異(deviation)を分析し管理する』手法なので、ぱっと見には、「P」が無いと始まらないように思えますが、実務でも、実際は、「P」無しで日常業務を回しています。だからこそ、「P」無しで「D」をした結果、「C」と「A」を通じて、「P」の必要性が分かるようになります。そうすれば、最初はできなかった「P」が、そのうちに立てられるようになるはずです。

(*1)別のレポートで説明しているように、日本人の考えの組み立て方は、-1+1+1=1であり、スペイン人(現地人)の考えの組み立て方は、1=+1+1-1で、大きな違いがあります。

しかし、日本人は、PDACを1サイクルで完結させることだけに拘る傾向が強くあります。「P」が、スペイン人(現地人)の苦手なこと認識せずに、または、認識しながらも、日本人はスペイン人(現地人)に「P」を一生懸命教えようとします。教えようとすること自体は、とても素晴らしい努力ですが、効果があまりないことに気付いていません。変な例え話になるかも知れませんが、子どもに嫌いな野菜を食べさせる時、どうしていますか?昔よくやられていたのが、『その嫌いな野菜を食べるまで他の物を食べさせない』と言うやり方でした。その場合、もしその嫌いな野菜を食べないと、何も食べられないことになります。確かに、『子どもに嫌いな野菜を食べさせる』ことは、その野菜が健康に良いので重要なことです。しかし、嫌なものを押し付けられる場合、それは決して『習慣』としては残りません。つまり、その場では嫌いな野菜を子どもに食べさせることができたとしても、子どもがその後率先してその嫌いな野菜を食べるかと言うと、そんなことは決してありません。逆に、「嫌い」が「大嫌い」になり、決して自分から食べようとはしないはずです。日本人のPDCAの教え方は、この昔の『嫌いな野菜を子どもに食べさせるやり方』です。「P」と言うスペイン人(現地人)の苦手なものがしっかりできるまで、「D」も「C」も、そして「A」をお預け状態で、PDCAを教えようとしているのです。だから、日本人がいないとPDCAが回らない、回そうとしないのは、当たり前なのです。それでは、PDCA手法はなかなか定着しません。そして、それが現場の現状です。

本当に、PDCAの考え方、本質を教えたいのなら、日本人の既成概念である「P」から始めなければならないと言う固定概念を捨てて、スペイン人(現地人)の考えの組み立て方に合致した順序で教えてあげることが有効な手段だと考えます。 

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