スペイン人に仕事のやり方を教え、根付かせるために -2.『真似』をさせる

「1.今起こっていることを理解」の中で述べたように、スペイン人が、「自分の価値」を上司に認めてもらう機会と捉えるその瞬間を利用し、スペイン人に仕事のやり方を真似してもらい、そのやり方を身に付けてもらうことが出来ます。その瞬間が、もっとも効果的です。そして、その仕事のやり方を教えた駐在員が居なくなっても、その仕事のやり方が継続されることになります。

まずは、しっかりと帳票や形式について説明することです。「企業文化」を教えることも含めて、決してこの説明を怠ってはいけません。時間が掛かっても、まず、『なぜその帳票や形式が使われる必要があるのか』と言う目的をしっかり説明する必要があります。例えば、日本人は「管理帳票」を良く作成します。その「管理帳票」には、心配性で細かい点に気の付く日本人だから配慮する項目が網羅されています。これまた、このブログを始めた最初の『海外進出している日系企業の発想の転換を促すレポート」に詳しく説明していますが、スペイン人は、日本人が当たり前に気付く点ですら気付けません。この事実をしっかり認識し、一つ一つの項目をしっかり説明する必要があります。良く駐在員の方々が、「現地人は気が利かん」と嘆かれ、批判されるのですが、「気が利かない」のではなく、「気が付くように教育も受けてない上に、気が付かないと生きて行けない環境にもいない」ので、「気付かせてあげる」指導をしなければ、そんな嘆きや批判をするのは、「お門違い」です。ですから、しっかりと駐在員の人が当たり前と思うことも教える姿勢、根気良さを持たなければ、スペイン人に『真似をさせる』ことは到底できません。つまり、帳票や形式で、何をしようとしているのかの目的から始め、一つ一つの項目を細かく説明し、議論をし合いながら、その帳票や形式が、今スペイン人のやっているやり方よりも『優れている』ことを分からせる必要があります。そうしない限り、『真似』をしてもらえません。

しかし、この方法は、とても時間が掛かるだけでなく、とてつもない労力がスペイン人と駐在員の両者に要求されます。管理帳票がたくさん存在し、日常業務を回さなければならない中、そんなに時間も労力も掛けれないと言うのが現状ではないでしょうか。つまり、上述の方法は、理想的ですが、現実的には難しい方法です。他に方法はないのでしょうか?

あります。もし駐在員の方が仕事を熟知されている方ならば、スペイン人の現状使っているもの、持っているものを見せてもらい、日本の帳票や形式のどの部分が当て嵌るか、そして、どの部分が足らないのかを調べ上げる手法です。この手法は効果的ですが、駐在員の方の能力次第です。基本的な考え方は、スペイン人の良さを尊重し、スペイン人の現状を正しく公平に理解し、足りないところを指摘し、補って、教えてあげると言うものです。こうすれば、スペイン人は帳票や形式を実務に置き換えて学ぶことが出来るので、『真似をする』ことも、足りないものを足す(学ぶ)と言う感覚で受け止めてやってくれるようになります。なぜなら、日本の帳票の『優れている点』を教えてもらうからです。但し、その補う点(足す点)が無駄と理解されないことを前提としています。

しかし、このやり方も、結構労力を使います。特に、言葉も慣れていない駐在員が赴任早々にできるものではなりません。そうなると、やはり次の方法が一番手っ取り早いことになります。

その方法とは、単純に、スペイン人に『真似をする』ように頼むことです。何だと思われるかも知れませんが、例えば、「帳票を埋めなさい」と指示するのと、「帳票を真似なさい」と指示するのでは、大きな違いがあります。と言うのは、「帳票を埋めなさい」と言う指示をもらったスペイン人は、自分の解釈で、帳票を埋めますが、「帳票を真似なさい」と指示されると、その帳票と自分のやっていることを比較し、分からない部分はしっかりと聞いて来ます。また、更に良いことは、真似をしてもらう帳票と自分のやっていることを比較して、自分が良いと思う案をスペイン人が主張してくれるので、どの点でスペイン人が自分のやり方の方が良いと考えているのかがはっきり分かります。この時の主張の仕方は、帳票と『競争』しようとしして、駐在の方が持ち出した帳票よりも、自分がやっているやり方の方がより良いと主張するのではなく、帳票を『使おう』として湧いた疑問からの主張のため、質が違うと言えます。と言うのは、具体性を持った『真似をする』ための議論となり、議論はし易くなっているからです。そして、現状に基づいたスペイン人の考えが聞ける機会にもなります。勿論、スペイン人とのコミュニケーションの改善にもなります。

ですから、『真似をする』ように頼むことが、秘訣です。

スペイン人は、「頼めば、色々とやってくれますが、指示すれば、指示されたことしかしない」と以前話をさせて頂いたと思います。仕事は、『人』と『人間関係』を成立させて、初めてやり遂げられるものなので、スペインで仕事をする場合は、スペイン人をしっかり理解することが、まず一番の秘訣です。次回は、日本人とスペイン人の違いについて書くことにします。

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