スペイン人を『活かす』仕事の仕方 (その2)

その2

「いや、私はスペイン人に、『日本的な働き方(仕事のやり方)』を求めたことも、押し付けたこともない」と言われる駐在員の方々に、敢えて、もう一度問い質させて頂きます。本当に、そうですか?無意識のうちに、あなたの『日本的な働き方(仕事のやり方)』をスペイン人にやらせようとしていませんか?と言うのも、これも別のレポートに書かせてもらっていますが、駐在員の方々の中には、「(企業文化を十分に伝えずに、)「やり方」だけを現地人に教えることがマネージメントを教えることだ」と考えられていらっしゃる方々が、結構いらっしゃるからです。そして、そんな駐在員の方々は、効率的(マネージメントを教えている)と考え、現地人に日本で作られた帳票を埋めることや、日本の形式に従うことを指導しています。この行為は、ある意味では、『日本的な働き方(仕事のやり方)』を強要していることになります。なぜなら、指導している『帳票や形式』は、『日本的な働き方(仕事のやり方)』の中から生まれたものだからです。

ここで、誤解して頂きたくないのですが、日本で作られた帳票を埋めることを教えたり、日本の形式に従うことを指導したりすることが、『マネージメントを教えることに繋がらない』と言っているのではありません。ここで主張させて頂きたいのは、『企業文化を教えず(十分に伝えずに)』と言う点で、日本でどうしてそのような帳票が作られるようになったのか、また、どのような状況下でその形式は定められるようになったのかを教えることで、初めて、『マネージメントを教える』ことになると言う考えです。得てして、日本に理解してもらうために、日本の『帳票や形式』に従わせていませんか?例えば、一時停止(止まれ)の標識ですが、日本では逆三角形です。しかし、スペインでは八角形です。従って、「止まれ」を「STOP」に書き換えて、会社の敷地(工場)内に『逆三角形』で一時停止(STOP)の標識を設置しても(日本の『帳票や形式』に従わせても)、事故の危険性防止能力(マネージメント)を向上しているとは、一概に言えません。確かに、日本、日本人には理解してもらえます。しかし、もし「日本では、八角形のデザインだと他の標識と区別しにくいため、視認性が高いとされる不安定な見た目の頂点を下にした逆三角形が採用されている」と説明したとすれば、マネージメントで必要とされる判断材料と判断基準、すなわち、「視認性」(判断材料)が「高い」(基準)が教えられているので、立派なマネージメント教育と言えます。この違いを、私は主張しています。

さて、『一時停止(止まれ)の標識』の例を使って、話を本題に戻すと、日本の『やり方(帳票や形式)』に合わせる形で、『逆三角形』の一時停止(止まれ)標識を、「止まれ」を「STOP」に書き換えて、会社の敷地(工場)内に設置した場合、なぜスペイン人の力を引き出すことが出来ないどころか、「殺して」しまっていることになるのでしょう。その点を、次に説明させてもらいます。

実は、スペインにも、逆三角形の標識があります。「STOP」ではなく、「CEDA EL PASO(道を譲りなさい)」と言う標識です。日本の場合は、「止まれ」や「徐行」の逆三角形の標識の下に長方形で追加されている「前方優先道路」の標識と同じ効果を持つ標識です。つまり、日本の『やり方(帳票や形式)』に合わせる形で、『逆三角形』の一時停止(STOP)標識を設置すると、「STOP」ではなく、「前方優先道路で譲る」に誤解される可能性があります。大袈裟かも知れませんが、スペイン人の力である『八角形のSTOP』も、『逆三角形のCEDA EL PASO(道を譲りなさい)』も活かされず、しかも、もし『誤解』が生じて事故が発生するものならば、それこそ「スペイン人はダメだ」と彼らの力は認められず、「殺されてしまう」ことになります。確かに、帳票や形式は、異なる文化、言語を操る人物の間に「共通言語」を作り出し、お互いに理解ができるようにしてくれる便利なToolです。しかし、そのToolに対する理解と共通認識の上に「帳票や形式」が使用されないと、逆に誤解を生みだすTool(道具)になってしまいます。この点についても、別のレポートでもっと詳しく書いているので、お読みください。

それでは、スペイン人の力を『活かす』仕事の「やり方」は、どのような仕方なのでしょう。

(その3に続く)

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