スペイン人を『活かす』仕事の仕方 (その3)

その3

ここでも、もう一度、『一時停止(止まれ)の標識』の例を使って話をすることにします。まず、「日本では、八角形のデザインだと他の標識と区別しにくいため、視認性が高いとされる不安定な見た目の頂点を下にした逆三角形が採用されている」と説明してあげることから始めるべきです。つまり、スペイン人に彼らの知らない(気付かない)ことを教えることから始めます。キーは、「日本では」と言うフレーズを付けることで、スペイン人に対して「知らないで当然」と言う領域を示してあげることです。「日本では」と始められると、彼らの知らない領域なので、(自分の主張を)言いたがり屋のスペイン人でも、何も言えず、聞くしかないからです。(また、聞かせることができるようになります。)もし「日本では」を言わないで、「八角形のデザインだと他の標識と区別しにくいため」と始めると、自分を主張したがるスペイン人気質から、「そんなことはない」とか、「区別できる」とか、「区別しにくい」と言う評価に「区別しにくくない」と口を挟んでくる可能性があります。口を挟むと言うことは、まさに聞く耳が欠けることに繋がり、従って、スペイン人の力を「殺さない」ものの、日本人の『力(良さ)』をスペイン人にしっかりと説明してやることが出来なくなり、結果的に、スペイン人の力を『活かす』ことも出来なくなります。それを避けるためにも、スペイン人の彼らが知らないで当然な領域、『日本での話』とすることは、有効な手段です。勿論、日本(他の国)が一番と言うような他(現地)を見下したスタンスを取って話したり、日本と他の国(現地)を比較するような言い方をしたりしてしまうと、「ここはスペインだ」と泣き付かれたり、反感を買ったりする場合もあるので、注意が必要です。簡単に言うと、スペイン人の知らないことを教えて(伝えて)あげることが、まず、第一番目にしなければならないことです。【聞かせる

次は、「逆三角形の標識は、スペインにありますか?」と、スペイン人に意見を求めることです(質問することです)。スペイン人気質は、「自分」を売り込む、「自分の優秀さ」を認めてもらおうとする気持ちが強いので、意見を求められると喜んで色々なことを話してくれます。例えば、「八角形デザインの標識は、何がある」とか、「逆三角形は、視認性が高いと思うか」とか、等の質問をしてあげると、状況把握に繋がる色々な情報を手に入れることができます。得られた情報は、スペイン人の力を『活かす』ために使えるので、とても重要となります。そして、キーは、「判断」を問い掛ける質問ではなく、「解説者」のようにコメントができる質問をすることです。「お前ならどうする」と言うような言い方は、正直言って、あまりお勧めできません。日本人駐在員の方々の中には、スペイン人(現地人)を育てたいと思い過ぎてか、「判断」をさせようと仕向ける人がいます。しかし、実際は、日本人駐在員の方々の希望する「判断基準」をまだ持っていないスペイン人に、『判断』させようとしているので、出される『判断』が気に入るはずはありません。そうなると、結局、出させた『判断』を再考させようとして話をすることになります。スペイン人にとって、これほど混乱することはありません。表面的には、再考して日本人駐在員の方々の希望する『判断』をするようになるのですが、実際には、スペイン人は、「なぜ最初から判断を示してくれなかったのか」と疑問に思ったり、愚痴ったり、してしまいます。そして、最悪の場合、自分の『判断』を日本人駐在員の方々に示すことが憶病になり、日本人駐在員の方々の顔を伺ったり、逆に、無視したりするようになります。そうなると、スペイン人の力が引き出すどころか、「殺してしまっている」ことになります。そして、やり方に対して不満が募り、信頼関係は築かれません。また、悪いことは、そんな風に振舞う日本人駐在員の方々に限って、スペイン人が『判断』を変えたことに対して、「教えることができた」と誤解して満足してしまうものです。全くおかしな話ですが、現実にそのようなケースを見て来ています。

ですから、本当に、スペイン人の力を活かそうとするのであれば、「解説者」のように気兼ね無しに自由にコメントができる質問をすることです。第三者的な立場からだと、スペイン人は鋭い指摘をしてきます(意見を言います)。それは、当事者ではないことが、身を守る『保身』の必要性を取り除き、彼らを解放するからです。ある意味では、「無責任」に、状況について『正論(知っていること)』を話すようになります。そんな意見を聞くと、日本人駐在員の方々は、「なんて他人事みたいな言い方をするんだ」と首を傾げられるかも知れませんが、スペイン人の力を活かすためには必要なステップで、言わせるべきです。

スペイン人に意見を言わせ、色々な情報を手に入れるが、第二番目です。【話させる

そして、第三番目が、判断材料と判断基準を示してしてあげることです。【示す

(その4に続く)

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