スペイン人を『活かす』仕事の仕方 (その4)

(そして、第三番目が、判断材料と判断基準を示してしてあげることです。【示す】)

その4

どういう事かと言うと、これまた、『一時停止(止まれ)の標識』の例を使って話をすると、「不安定な見た目の頂点を下にした逆三角形は、視認性が高いと私は思うが、あなたはどう思いますか?」と尋ねてあげることです。つまり、判断材料となる「視認性」と共に、自分の意見(判断基準)である「逆三角形は、不安定な見た目の頂点が下に来ているので、視認性が高い」を、はっきりと示してあげることです。思っている以上に、日本人駐在員の方々は、このような話し方をスペイン人にしません。一般的なのは、「あなたはどう思いますか?」と言ってスペイン人に判断を言わせた後に、『後出しジャンケン』のように、「でも、そうするとこんな問題が出るのが心配だ」とか、「こんな問題を引き起こし兼ねないのでは」とか、言い出すのが通常です。実は、この言い方が、一番スペイン人を当惑させ、うんざりさせます。これまた、このブログの別のレポート(*1)で説明していますが、日本人の『考え』の組み立て方(思考回路 「-1+1+1=1」)から出ている言葉(疑問)なのですが、スペイン人の『考え』の組み立て方(思考回路 「1=+1+1-1」)とはあまりにも異なっています。そのため、日本人にとっては当たり前な最初に来るこのマイナス的(ネガティブ)な疑問(見解)は、スペイン人にとっては予想だにもしない疑問(見解)なので、彼らを「パニック」に陥れます。そして、恰も、咎めているようにも取られかねない言い方なので、スペイン人はアタフタとしてしまいます。そこには、スペイン人の力を活かす機会は存在していません。

(*1)『海外進出している日系企業の発想の転換を促すレポート』、第二章、「海外進出している日系企業が必要とする発想の転換を促す3つの鍵」、「1. 1つ目の鍵=日本人とスペイン人の『考え』の組み立て方の違いを理解する」を参照。

それでは、スペイン人の力を引き出したい、活かしたい、と思うのなら、どう言えば(対処すれば)良いのでしょう。そのためには、決して、スペイン人に言わせた後にマイナス的(ネガティブ)な疑問をぶつけることで、スペイン人の判断や考えを検証したり、補正したり、しようとしてはいけません。日本では当たり前の行為かも知れませんが、『考え』の組み立て方が日本人と違うスペイン人に対して『日本的な働き方(仕事のやり方)』をしてはいけません。その代わりに、自分の判断材料と判断基準を示し、スペイン人があなたを理解し、サポートしてくれるようにするべきです。一見、自主性が無いように聞こえるかも知れませんが、実は、この『理解』と『サポート』を得るようにするのが、スペイン人の力を活かす仕事の仕方です。そして、スペイン人と一緒に仕事をするやり方です。厳しい方になりますが、スペイン人に任せ切ることができないのに任せた『ふり』をして判断させ、日本人の『考え』の組み立て方(思考回路 「-1+1+1=1」)でその判断を検証し(ケチをつけ)、マネージメントを教えているつもりになるのは、滑稽な話です。そして、避けなければならない仕事のやり方です。

つまり、『一時停止(止まれ)の標識』の例を使って話をすると、判断材料となる「視認性」の視点を提供すると共に、自分の意見(判断基準)である「逆三角形は、不安定な見た目の頂点が下に来ているので、視認性が高い」を、はっきりと示し、理解を得てサポートしてもらうやり方取るべきです。そうせずに、スペイン人の出した「八角形の一時停止(止まれ)の標識を採用」の判断に対して、「八角形だと他の標識と区別しにくくないか?」とか、「八角形は、本当に、視認性が高いのか?」とマイナス的(ネガティブ)な疑問ぶつけ、判断を覆させるように仕向ける仕事のやり方では、スペイン人の力を活かすことは決して出来ません。日本人同士なら、後者のやり方でも、相手を理解しようとして、ついて来てくれるかも知れませんが、スペイン人にそれを期待することはできません。従って、前者のやり方で、『理解を得てサポートしてもらう』ように努めるべきだと考えます。スペイン人(現地人)は、マイナス的(ネガティブ)な疑問(意見)から「省み」て、何かを学ぶとことはしません(できません)。そんな教育は受けていません。そのことを日本人駐在員の方々に分かってもらうために良く使っている「事実」引用が、『日本語の「反省」と言う言葉が、スペイン語にも、英語にも、ぴったりはまった訳(言葉)がない』と言う事実です。通常、「反省」は、スペイン語では「Reflexión」、そして、英語では「Reflection」と訳されていますが、スペインやUKに住んだことのある人なら誰でも頷いてくれると期待しますが、日本語の「反省」とスペイン語や英語の「Reflexión、Reflection」は全く同一の概念を表す言葉ではないと言うことです。日本語の「反省する」と言う行為が、「自分」の落ち度、至らなかった点を省みることを起点にするのに対して、スペイン語の「Reflexión」や英語の「Reflection」は、「状況」の落ち度、不具合を省みることを起点としています。勿論、「状況」には「自分」も含まれるのですが、日本語の「反省」のように、「自分」に対するマイナス(ネガティブ)な点を、まず見つけ出し、「学ぼう」とするものではありません。あくまでも、取り囲まれた「状況」のマイナス(ネガティブ)な点を見つけ出す行為で、更に言えば、日本語の「反省」のように、自己改善につながる「学ぶ」に結びつけられた意味合いは強く含んでいないと言えます。ですから、スペイン人(現地人)に、マイナス的(ネガティブ)な疑問(意見)をぶつけ、学んでもらおうとするのは、全くスペイン人(現地人)を理解していない「日本的な働き方(やり方)」です。あなたは、そんなやり方をしていませんか?

今まで書いてきたことを総括すると、【聞かせる】【話させる】【示す】を上手に行うことが、スペイン人の力を『活かす』仕事のやり方です。つまり、スペイン人を『活かす』も、『殺す』も、全て日本人駐在員の方々の力量に掛かっています。

きつく、生意気な言い方になるかも知れませんが、『スペイン人の力が無い』のではなく、日本人駐在員の方々が力量不足で『力を引き出せない』でいるのが、スペインの子会社が成長しない真の原因なのかも知れません。欧州に海外進出している日系企業のどこもが直面している問題で、この問題を上手く乗り切っている会社がそこそこ欧州で成功していると言えるのではないでしょうか。但し、「そこそこ」と書いたのは、「もっと、もっと」成功する可能性を秘めているからです。日本の良さとスペインの良さを合体する働き方をすれば、スペインの子会社は日本の本社に負けない良い会社になると信じて疑いません。

今こそ、日本人駐在員の方々が日本語の「反省」を実践すべき時だと考えます。

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