「悩み事」相談1-1『仕事をする人』と『仕事を与える人』との区別

今日は、ある人から次のような悩み事を聞き、私の考えを話させてもらった例を紹介させて頂きます。同じような悩み事を持つ方の参考になればと思う次第です。

 

悩み事

「危機、リスク管理の意識が強すぎるために、最終的に顧客と料金や条件を決める際に、若干のリスクを背負うことも毛嫌い傾向にあり、最終的な受注に結び付かないことがあります。現在は、私がいるので最終的な責任を取ることで前に進めていますが、将来、私が帰任した場合に、上記の管理者としてではなく責任者としてポジティブに支店運営を進めさせるには、どのようにしたら上手く行くのか悩んでいます。」

私の考察

この悩み事を考えるにあたって、最初に、皆さんに思い出してもらいたいのは、このBlogで最初に紹介させて頂いた『海外進出している日系企業の発想の転換を促すレポート」の中に書かせてもらった「スペイン人は、『自分の意見が最高のもの』と思って、誇りを持って自分の仕事をやっている」と言う事実です。そして、その仕事のやり方は、とても保守的で、変化(改革)を望みません。いや、「望まない」と言うよりは、「考え付かない」と言うべきかも知れません。なぜなら、欧州での仕事のやり方は、与えられたやり方をしっかりやりこなすことが、『仕事をする人』の任務で、やり方を変える(改善する)のは、『仕事を与える人』の責務と考えられているからです。つまり、「上部より(この様に)変えろ」と命令されるまで、与えられたものを自らが信じるベストの方法で遂行することが、『仕事をする人』の任務と理解されているからです。余談になるかも知れませんが、だからこそ、『仕事を与えられた人がその与えられた仕事のやり方を考えて変える』と言う日本発の「Kaizen改善(mejora continua)」活動の発想が、日本式マネージメントとして、欧州人の目に、新鮮で、目新しく映っているのだと考えます。

この点をもう少し掘り下げると、日本では、『仕事を与える人』と言う認識は存在せず、上部は、指針、方向性は示すものの、具体的な展開は各部署、仕事をする人が決めるものとしていると言えるのではないでしょうか。つまり、『仕事をする人』自身が、何をするべきかを考え、仕事を遂行していくことが、日本では当たり前として、要求されます。上部は、仕事の方向性を確認、チェックし、結果への責任を負う(責務)と言う役割を持つものの、決して、仕事のやり方を具体的に示す義務は持っていません。その代り、仕事に従事している人たちが仕事のやり方を考えられるように導く(指導する)義務を負います。確かに、昔は、上司が、「これをやれ、あれをやれ」と具体的に指示をしていましたが、そんな昔でさえ、「提案制度」や「改善活動」等が制度化され、常に、仕事をする人からの仕事のやり方への意見が求めて来ました。これは、もしかすると、日本の会社では、上に行けば行くほど、頻繁に異動するため、部下に頼らなければ、任された部署のマネージメントがしっかりできないことを身をもって知っているからかも知れません。つまり、頻繁な異動で、会社についての幅広い知識と認識は持つようになるものの、任された部署での経験や専門的知識に欠ける、ないしは、不足しているために、細部までの指示が出来ず、部下の意見を聞きながら、仕事の結果を出していかなければならないからだと考えます。それに対して、異動が少なく、任されている部署の経験や専門的知識を自らが持っている上司を持つ欧州の会社では、上司が細部まで仕事を知っているために、細部までの指示ができ、『仕事をする人』と『仕事を与える人』とを区別することが出来るからだと考えます。と言うことで、日本と、欧州(スペイン)では、大きな違いがあります。

この違いについて、書き出すと、きりがないので、また別の機会にします。

私見ですが、日本式の方が、会社としての成長の余地がると理解しています。

 

さて、上述してきた違いをしっかり理解して、悩み事について考えると、まず、事実の認識が的を射ていないのではと思えるのです。それは、『危機、リスク管理の意識が強すぎる』と認識されているようですが、そうではなく、一つの「やり方」を踏襲してきて、「そのやり方」から抜け出すことが出来ないでいると認識するべきではないかと言うことです。つまり、「リスクを背負わない」と言う「やり方」を学んでおり、誰かが変えろと言ってくれるまでは、その「やり方」を自分の考えるベストの方法で、(真剣に、そして、精一杯に、)やり切っているように見えます。得てして、スペイン人は、一般的に、『危機、リスク管理の意識は薄く』、計画性をもってリスク回避を考えることが苦手です。しかし、逆に、危機やリスクが現実化した際の対応は、迅速で、その場を凌ぐ能力は卓越しています。今回のCovid-19でも露呈されたように、リスク管理は全然できていませんでした。(再三のリスク警鐘を無視したり、リスクを甘く見たり、していました。)しかし、感染が爆発的に広がり、その場を凌ぐ必要が出た時、逸早く「警戒態勢」を宣言し、地方自治体に移譲されている権限を中央に集中させ、地方自治体のエゴでバラバラに対応がされないように手を打ちました。確かに、医療崩壊で多数の死亡者を出しているものの、この策は、スペイン人の現実化したリスクに対する対応の速さを示していると思えます。ですから、『一般的』に解釈すれば、『若干のリスクを背負うことも毛嫌い傾向』は、教えられた「やり方」から逸脱していない証拠と解釈するべきだと考えます。

そう理解をして、「どうすれば良いか」という議論をすると、やはり、「企業文化をもう一度教える」と言うことが、基礎になります。その上で、方法論として、「若干のリスクを背負う」判断基準を示し、スペイン人が「やり方」として認識できるようにしてあげることが重要だと理解します。

スペインでは、『水が半分入ったコップ』の話を使って、「ポジティブ」になることを教えています。ご存知ですか?その話とは、『水が半分入ったコップ』見せて、あなたは、半分『しか』ないと思いますか?それとも、半分『も』あると思いますか?と問い掛けるものです。もう分ってもらえると思いますが、同じ事実にもかかわらず、全く正反対の考え方が成り立ちます。つまり、『考え方』次第で、物事の受け取り方が変わると言うことが教えられてます。「分かち合えば、余る」、「取り合えば、足りない」と言う教えにも繋がりますね。「Be positive」 を教えています。多分、現地人スタッフにも使える話だと思います。『リスクを背負う』と見るのか、「商機がある」と取るのか、判断基準を教えてあげることで、この「やり方」をスペイン人に身に付けてもらっては、どうでしょうか?

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