日系企業の欧州戦略の失敗イコール『営業力の欠如(貧弱さ)』の認識(その1)

 

日本の企業のTOPは、自社の欧州戦略が成功している、または、成功したと思っているのだろうか?近年、多くの日系企業が欧州から撤退しているが、それは、環境変化による仕方ないことなのか?マネージメントの観点から、そんな疑問について考察をしていきたいと考える。

現在、日系企業の生産工場(製造業)の欧州撤退は、Globalizationの一つの結果として、受け止められ、進められている。『安く作れるところで大量に作ってコストを下げ、持って来れば、商売ができる』と考えているからである。しかし、本当に、その考え方は正しいのだろうか?

また、製造業以外でも、日系企業は、撤退しないまでも、欧州で事業を拡大ができずにいる。なぜなのだろうか?

 

結論から書くと、日系企業の営業力の欠如(貧弱さ)が、生産工場の撤退や欧州での事業拡大ができない原因になっていると言えるのではないだろうか。決してGlobalizationのせいだけではない。日系企業の営業力は、製品の品質とコストに支えられて成り立っているため、日系企業は純粋な「営業力」を兼ね備えていない。そのために、「営業力」を持つ欧州の企業には勝てないと言うのが、真の原因である。欧州には、『安く作れるところで大量に作ってコストを下げ、持って来れば、商売ができる』とは言えない背景がある。その背景とは、『多様性』のことである。欧州は、日本、USA、中国のように一つの国ではない。小さな国々の集まりで、言葉も、文化も、そして、歴史も異なる人々が存在する地域である。そこでは、時として、一括した売り方ではなく、その地域、地域に則した売り方が要求される。しかし、日系企業は、欧州をあたかもUSA(や中国)のように考え、中央集権型の管理体制下の営業しか試みていない。否、昔、各国に任せたら、管理が上手くできずに、費用がかさみ失敗したと言う経営者がいるかも知れない。しかし、それは、最初、各国それぞれで運営してきた拠点を、欧州共同体として扱おうとしたために起こった失敗であり、まさに欧州を一つの国と捉え、扱ったための失敗で、中央集権型の管理体制を敷いたためである。

 

更に続けると、真の意味で、各国に営業活動を任せきった日系企業は、過去に存在しない。確かに、現地生産に基づき、各国に任せるとした時期はあったが、実際には、日本からの強い管理体制下で日本に依存しながら全ての運営がなされていたと言える。その時代の営業は、日本のやり方を現地人にやらせていた形で、今もそのやり方が継承されているだけである。まさに、『振り』に過ぎない。そして、欧州では、地域に密着した営業が地道に行われることがどこよりも要求されるのに、それが無視され、地域性を殺して、営業活動が行われている。これでは、欧州で、売れるはずがない。例えば、日本では、従業員からの提案を求め、その提案を重視するのに、欧州では、その『振り』はするものの、日本人が話し易い(理解し易い=管理し易い)英語にコミュニケーションラングエッジを統一し、地域性を殺し、意見を出難くしている。しかし、そのことに気付いていても、多様な言語に対応する手間やコストのことを考えたり、欧州でも『中央集権的な体制』を敷いていたりするために、見て見ぬふりをしている。(特に、UKに欧州の本店を置いている企業では、その傾向が顕著であると言える。)この例は、一見何も関係ないような話に思われるかも知れないが、実は、欧州における日系企業の実態を正確に描写している例と言える。『振り』はしても、『真』の実践が伴わない日系企業の実情である。特に、欧州を一つの共同体と扱い始めてからは、地域性が全く生かされないようになったとも言える。

 

日系企業は、今もう一度「営業力」について考え直す必要があると考える。なぜならば、将来、アジアが、市場として、欧州化する可能性があるからである。勿論、ラテン・アメリカも、程度は違っても、同様になると推測される。つまり、『多様性』に則った営業力が要求される市場になると言うことである。アジアも、一つの国ではなく、異なる言語と、異なる文化や歴史に支えられた市場だからである。そして、Globalizationの後には、また螺旋状(Spiral)に進化した現地生産体制が要求されると考えられるからである。

 

そんな意味で、今工場を撤退させずに、営業力を高める努力をすることが、将来を見据えて、日系企業に求められていることではないのだろうか。「安ければ売れる」のではなく、また、「製品力(品質とコスト)だけで売る」時代ではなくなると言うことで、つまり、真の営業力を、欧州で、日系企業は身につけるべきであると言うことである。簡単に言えば、売れれば、工場を撤退させる必要がないのだから、売ることに専念する。そのためには、地域性を理解し、多様性に追従する必要がある。しかし、悲しいことに、現在の日系企業の営業は、日本のやり方や英語圏(USA)での実績に縛られ過ぎて、多様性の存在する欧州では、力がない。まず、そのことを理解し、対策を打つ必要性を感じることが第一歩となる。しかし、残念ながら、現状では、そのような認識に立つ日系企業は見受けられない。手遅れにならないうちに、早く気付いてほしいものである。

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