海外進出している日系企業が必要とする発想の転換を促す3つの鍵: 1つ目の鍵=日本人とスペイン人の『考え』の組み立て方の違いを理解する。

海外進出している日系企業の「致命的なミス」は、「企業文化」を子会社に伝え切っていないことですが、その「致命的なミス」を解消するためには、親会社を巻き込んだ日系企業の発想の転換が必要となります。そして、そのためには、下記の3つの鍵を持ち発想の転換の扉を開ける必要があります。

まず、 

1つ目の鍵=日本人とスペイン人の『考え』の組み立て方の違いを理解する。

日本人は、「-1+1+1=1」と言う方程式で『考え』を組み立て話をしますが、スペイン人は、「1=+1+1-1」の方程式に従い『考え』を組み立て話をします

あなたの会社で、本当に、日本人(駐在員)とスペイン人が理解し合えるようにしたいのなら、まず、この方程式で表されている『考え』の組み立て方のパターンの違いを、良く観察して理解してください。

日本式: -1+1+1=1
最初に、あまり賛同しないこと(「-」マイナスの要素)を言いがちで、その後、結論に持って行くため、ポジティブな点(「+」プラスの要素)を足して行きます。


スペイン式(又はヨーロッパ式): 1=+1+1-1
最初に、望むこと(結論)を言い、その後、必要と判断した時(聞いている人が理解してくれないと思えた時)、その結論を正当化するポジティブな点(「+」プラスの要素)を付け足します。最後に、求められれば、何かネガティブな点(「-」マイナスの要素)を言いますが、自分からは、決して自分の結論のネガティブな点は言いません。また、言えません。それは、自分結論が最高のものだと無意識のうちに思っているため、ネガティブな点が頭に浮かばないからです。

違いは、各々が使う言語に起因しています。 つまり、スペイン人はスペイン語で、日本人は日本語を使うために起こる『考え』の組み立て方の違いと言うことです。

この点をもっと理解し易くするために、文章の言葉の並びについて目を付けて見ましょう。

例えば、スペイン語で、 “Quiero comer algo dulce.” とします。

発せられている最初の言葉は、「動詞」の quiero (ほしい)です。その次が、何がほしいのかを示すもう一つの「動詞」 comer (食べる)です。その後、「目的語」である algo (何か)が来て、続いて、「形容詞」である dulce (甘い)となっているのが、今回の例です。

この例えの文章を日本語の順序で並べ替えたら、次のようになります。

Dulce algo comer quiero

違いが分かりますか?

そうです。日本語は、言葉の順序がスペイン語の全く逆だと言うことです。人は、自らの言語を使って物事を考えます。ですから、自らの言語で使われている言葉の順序で、『考え』を組み立てるのは当たり前のことです。つまり、『考え』の組み立て方(思考回路)の違いは、「事実」であり、「明白」なのことなのです。

残念なことに、例え同じ言語、それがスペイン語であろうと、日本語であろうと、また英語であったとしても、を話したとしても、この違いがスペイン人と日本人の「完全なる」理解を困難なものにしています。この違いに注意をせず、同じ言語、例えば英語で議論がされた場合、より悪い状況に多分陥ることでしょう。と言うのは、お互いに相手は完全にわかってくれたと思い込むのですが、その実、分かり合っていない状況が作られているからです。そして、一般的に、日本人駐在員は、この『落とし穴』に落ちがちです。と言うのも、得てして、海外に拠点を持つ日系企業は、『英語』を拠点間の公用語として設定し、一つの同じ言語を話せば、コミュニケーションが図れる、上手く行くと考える傾向にあるからです。しかし、同じ言語を話しても、決して、理解し得ると言うわけではありません。『考え』の組み立て方の違いに目を向けてない限り、『すれ違い』、『誤解』に悩まされることになります。その同じ言語が、例えスペイン語だったとしてもです。ここに恐さがあります。

日本人駐在員の方々で、他の国で駐在経験が多い方ほど、この『落とし穴』にはまってしまっている傾向にあります。なぜなら、『英語』や『スペイン語』が達者なだけでなく、『他の国々で経験を積んできたから』と高を括られるからです。しかし、この『考え』の組み立て方の違いをしっかり理解していない人は、本当に分かり合っている人とは言えません。

しかし、次のことも、また言うことができます。

もし上述した『考え』の組み立て方(思考回路)の違いを知っていたとしたら、例え同じ言葉を話さなくとも、完全に理解し合えると言うことです。

相手の言語を使って片言でしか話し合えないとしても、また、通訳を介してコミュニケーションを取るしかないとしても、お互いの『考え』の組み立て方の違いを把握していれば、的確に意思の疎通ができます。

唯、そのためには、スペイン人に身に付けてもらわなければならない『態度(姿勢)』があります。もしその『態度(姿勢)』が取れないと判断するのなら、日本人がスペイン人の『考え』の組み立て方で、話をするしかありません。それが、鍵です。

スペイン人に身に付けてもらわなければならない態度(姿勢)は、『忍耐』(最後まで聞くこと)です。

『忍耐』(最後まで聞くこと):

まず、スペイン人に、日本人の『考え』の組み立て方(思考回路『-1+1+1=1』)を知ってもらうように努めましょう。そして、日本人が、考えを出し尽くすまで、辛抱強く聞くことを教えてあげる必要があります。と言うのは、日本人は、『考え』をまとめるために、「望まない(-1)」ものから最初に口に出す傾向があります。しかし、スペイン人はそのことを知りません。そして、スペイン的に理解し、日本人が話し始めた最初の部分(-1)を結論と勘違いして、その最初の部分を聞いた段階で、反応してしまうのです。それで、日本人が、その後、結論(=1)に持っていくために論証(+1+1)しようと続けて話しているにもかかわらず、スペイン人は、頭の中で、日本人が最初に言ったこと(-1)に引っかかり、考えを巡らしてしまいます。その結果、その後、どのようなことが言われているのかもう良く聞かない、聞けなくなってしまうのです。最初の部分の言葉だけに思いを巡らし、言い返すことを準備してしまうから、そうなるのです。従って、簡単に言うと、スペイン人に最後まで話を聞いてもらえていない(-1+1+1)ので、結論(=1)を分かってもらえない、理解してもらえないのです。

この失敗を防ぐためには、スペイン人に『忍耐』(最後まで聞くこと)と言う態度(姿勢)が必要です。日本人が話したいことを言い終えるまで聞く態度(姿勢)を、スペイン人に養ってもらわなければなりません。なぜならば、『-1+1+1=1』の方程式の順序で、日本人は『考え』を話しているからです。

同時に、スペイン人に話の内容のメモを取ってもらうようにするのも効果的です。スペイン人は一般的にメモを取ることを苦にしません。ですから、その習性を利用し、メモを取ってもらいます。話を最後まで聞いてもらい、取ったメモを見ながら、最後に述べられた結論にどのようなネガティブな側面(「-」マイナスの要素)とポジティブな側面(「+」プラスの要素)を日本人は見出しているのかを、分かってもらうようにします。そうすることで、結論だけではなくて、論点をしっかり把握してもらえるようになります。日本人は、論点(ネガティブな側面とポジティブな側面)をはっきりさせ、結論付ける『考え』の組み立て方をしていることを、しっかりとスペイン人に理解してもらうことが大事です。もしそのことが理解してもらえれば、日本人とスペイン人の話し合いはスムーズに行きます。そして、もし日本人の結論とスペイン人の結論が例え一致しない場合でも、日本人の話を聞いている間に取ったメモが、とても役立ちます。なぜならば、日本人が結論に達するまでの心配事(ネガティブな側面)が何で、そして期待すること(ポジティブな側面)が何かをもう既に知っていることになるからです。戦術は、その心配事と期待することを鑑みた観点から話し合うことです。

しかし、問題は、「通常」、スペイン人は最後まで話を聞かないために、日本人が本当に何を求めているのか分からずに、黙り込んだり、議論してしまいがちになることです。厄介なのは、『考え』の組み立て方の違いがあることを知らず、スペイン人の『考え』の組み立て方で、日本人の話を理解し、言っている事が分かったと思い込むことです。そうなると、厄介です。と言うのは、日本人の話した最初のそれほど本質的ではない部分に、引っ掛かりこだわってしまうのがスペイン人なので、もし自分の考えとそこが違っていたら、その点だけを全力を尽くして議論しようとするのがスペイン人だからです。しかし、いくらスペイン人が激しく議論しても、あまり抜本的な点ではないので、日本人は、時として相手にもしてくれません。その結果、スペイン人はフラストレーションを感じ、そして、日本人から信頼されていないと言う気持ちになってしまうのです。途轍もない間違いが、起こっています。

そんな間違いを避けるために実務で求められるのは、まずスペイン人に最後まで話を聞く態度を学ばせることですが、もしそれができない場合は、日本人がスペイン的な『考え』の組み立て方(1=+1+1-1)で話をしてやることです。唯、日本人にスペイン的な『考え』の組み立て方(1=+1+1-1)で話をしろと言うのは、とても難しいことで、ある意味では、無理なことです。「結論から言いなさい」と言われた経験を持っていませんか?まさに『結論から言わないのが、常』だから、そう言われるのです。ですから、やはり、スペイン人に最後まで話を聞く『忍耐』と言う態度を、学んでもらうしかありません。

「あれ、日本人こそ、スペイン人の話を最後まで聞いてくれないぞ」、と言うスペイン人がいるかも知れません。果たして、その『指摘』は正しいのでしょうか?

スペイン人が、日本人に考えを説明する場合を考えて見ましょう。勿論、スペイン人は、1=+1+1-1の方程式の順序で、『考え』を組み立てて話をします。従って、今まで話して来たものとは、真逆になります。

スペイン人は、最初に「ほしい(1=)」ものを言います。そして、もし必要ならば、プラスの要素(+1+1)を話しながら自らの考えを主張します。時として、プラスの要素についてすら、説明しないことがあります。従って、マイナスな要素(-1)は、全く話すことをしません。なぜなら、ある意味では、自分の意見が『最高のもの』と思っているからであり、そのため、マイナスな要素が見えないために話すことができないのです。日本人には、それが理解できません。なぜなら、日本人は、結論に辿り着くまでの道程(ネガティブな側面とポジティブな側面)を見えることで、結論を理解するからです。つまり、その道程が見えないと、結論が見えないと言うことです。ですから、日本人は、最初に「ほしい(1=)」もの(結論)を言われても、結論に辿り着くまでの道程(ネガティブな側面とポジティブな側面)を確認するまで、肯定も否定もせず、質問をし始めます。その質問は、『結論に辿り着くまでの道程』を見ようとして行うものですが、日本人の『考え』の組み立て方(-1+1+1=1)を知らないスペイン人は、それが分かりません。そのため、『最高のもの』を示しているのに、なぜ日本人が質問してくるのかが理解できず、質問に直接答えるのではなく、背景を含めて、全てを一から説明しようとするのがスペイン人です。そんな態度が、日本人には、「スペイン人は言いたいことだけを言って、こちらの質問にはちゃんと答えてくれない」とか、「説明もろくにしないのに、承認を迫れれる」とか言う解釈に繋がってしまうのです。

一方、スペイン人は、「何て日本人は理解力がないのだろう」とか、「こんなに良い案を自分は出しているのに、どうして分かってくれないのだろう」と悩んでしまう結果となっています。

この様な状況下、日本人は、自らの考え方の組み立て方に沿って、スペイン人の結論に至らせたマイナスの点とプラスの点を、最初に探します。だからこそ、色々なことを質問をし始めるのです。時々、幾つかの質問は、スペイン人にとってあまりにも『明白な』ものであったり、また時として『馬鹿げているように見える』ものだったりします。従って、なぜこんな質問をするのだろうと理解しかねる事態になるのです。そうなると、質問に直接回答するのではなく、善意で、しかも『無垢な思い』から、質問に対して直接回答する代わりに、状況説明をしようと試みてしまうのです。なぜなら、スペイン人の考え方の組み立て方は、『1=1+1-1』で、質問を受けて、初めて主張を拡大するからです。多くの場合、スペイン人は、自分の考え(結論)が最高のものだと無意識のうちに信じているので、なぜそのような結論に達したかを説明する準備はしていません。だから、質問されると、何を回答して良いのか迷ってしまうのです。

従って、日本人の考え方の組み立て方を知り、日本人に対してしっかり準備する必要があります。それが、戦術です。

言うのは簡単ですが、行うのはとても難しいことです。なぜならば、スペイン人の『考えの組み立て方』や『習慣』から見て、全く逆で不自然だからです。だからこそ、学ぶ必要があります。この違いを知ることが、まず、第一です。

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