2つ目の鍵=日本人が小さな点に気付く能力を備えていることを理解する(知る)

日本人は、小さい時から日本語を学んでいます。日本語を学ぶと言う事は、上述した考えの組み立て方を身に付けるだけでなく、違いに気付く能力を身に付けることを意味しています。 

“未” と “末”、又は “千” と “干” 

例えば、『未』と『末』の文字の違いが分かりますか?間違い探しの遊びか、なぞなぞみたいですね。しかし、日本人にとっては、毎日の日常茶飯事のことなのです。日本人は、日本語使って日本で暮らすために『不可欠な』技術(能力)として、この例に見られるような違いを認識することを常に強制されているのです。なぜならば、その違いが、文字の意味を完全に異なるものにするからです。

『未』と『末』の文字

違いは、『未』の文字においては、上から二番目の横線がその上の最初の横線よりも長く、そして、『末』の文字では、その逆で、二番目の横線が一番目の横線より短いと言う点です。日本人には「当たり前」です。

『未』の文字は、『未来』や未だ起こってないことを表しています。一方、『末』は、『最後』や端を意味するものです。

『千』と『干』の文字

『千』と『干』の文字の場合、違いは長さではなく、最初の横線の形と傾きです。

『千』と言う文字は、数字の1000を意味し、『干』は「乾いている」もの、ないしは「乾かす」ものを指しています。

例えば、『大』、『太』や『犬』のように、もっともっと例はあります。『大』、『太』、『犬』の場合、違いは、『点』があるか、ないか、そしてどこに(位置)あるかです。そして、それぞれの文字の意味は、『大きい』、『太った』、そして動物の『犬』です。

日本人は、この言語で教育されています。そして、気付かないうちに、例えほんの小さなものでも、違いを見つけ出す能力を学び、身に付けているのです。

スペイン人に関して言えば、小さい時からスペイン語ないしは他のヨーロッパ言語を学んでいますが、日本語を学ぶことで日本人が身に付ける『違いを見つけ出す洞察力』と言う能力を発達させることは要求されません。しかし、表面的な違いにとらわれることなく、『本質を掴み取る能力』は要求されています。

例えば、『a』、『A』、『a』、『a』、『a』、そして『a』も皆同じです。日本人は手書きの文字を読むのが苦手です。なぜなら、文字の形の違いが目と頭の中に入り、どんな文字なのかを当てるのに手こずるからです。しかし、スペイン人は、文章の内容を見据え、書かれた言葉から文字の並びを頭に描くことで、文字の『a』、『A』、『a』、『a』、『a』は全て『a』と読み取る能力を持っています。従って、スペイン人の本質を捉える能力は、日本人のそのものより優れて勝っているのです。

日常業務でも、この違いをしっかり理解するべきです。

日本人は、細かいことを注意します。しかし、スペイン人は気にしません。これは、決して、批判でも、見下すものでもありません。唯単に、「一般的」に話をした場合の事実です。例え、日本人に比べてスペイン人が細かい点を見つけ出せないとしても、もしその細かい点が原因で物事が上手く行かなくなった多くの場合、スペイン人は適切に反応することができます。なぜならば、多くの考察を積み重ねることなく、瞬時に、その時に何をすべきかが見えるのです。

従って、次に日系企業がスペイン人に教えなければならないのは、『謙虚さ』(学習能力)です。

『謙虚さ』(学習能力):

スペイン人は、違いを観察し、見つけ出す能力で、日本人と競うことはできません。子どもの頃から日本語を使っているので、日本人はその能力を発達させて来ています。しかし、スペイン語を使ってきたスペイン人は、その能力を日本人並みに発達させてきていません。従って、違いを観察し見つけ出す能力が、日本人は日本語を話すために、他の国民よりも長けていると言うことを説明し、教えてあげる必要があります。それを教えないと、スペイン人と日本人が、お互いの能力を最大限に出し合って仕事をすることができません。なぜなら、スペイン人は、評価者(日本人駐在員)の前で自分の価値を見せようとする癖(傾向)があります。得てして、「自分の価値」は、「自分の主張」を認めてもらうことだと理解しています。そのため、日本人が見つけ出す細かい違いが見えないので、無意識に日本人が見つけたものを否定したり、無視したりして、「自分の主張」だけを繰り返してしまう傾向があります。そうなると、仕事の中で、日本人の『違いを見つけ出す洞察力』が活かされなくなるだけでなく、日本人駐在員は、スペイン人に対して「ちっとも気が利かない奴」、「考えが雑で笊(ざる)」、「生意気な奴」、等のレッテルを貼って、付き合うことになってしまうことになります。そうなると、今度は、スペイン人の直感的に「本質を捉える能力」を日本人駐在員が認めないようになり、お互いの長所が活かされません。スペイン人は、日本人の持つ「根拠のない謙虚さ」は持ちません。「根拠」をしっかり説明してあげることで、スペイン人の『謙虚さ』(学習能力)を引き出してあげる必要があります。

また、「日本人は、最初、何がしたいのかわからない、ないしは、やりたいことは分かっていても、それが最善なのかどうか『心配(不安)』なので、細かい点を見ながら、プラスの要因、マイナスの要因(結論を肯定する、ないしは、否定する要因)を考察するように努める」と言う日本人の行動パターンを、正直にスペイン人に伝えることも大事です。この点は、1つ目の鍵で説明した『忍耐』がスペイン人に更に要求される場所です。つまり、この行動パターンを、日本人の『習性』とスペイン人に理解してもらうことです。そして、スペイン人の理解の下、日本人のやりたいようにやらせてもらうことです。そうすることで、スペイン人も日本人がどんな違いを見つけ出すのかを学ぶことが出来るようになるからです。そして、2つ目の鍵である『謙虚さ』を身に付けさせることで、日本人が見つけた細かい違いやこだわりを、否定も、無視もせず、受け入れてもらえるようになるのです。その態度は、日本人駐在員にとって心地良いもので、お互いの信頼関係を深く、そして太くするものです。また、同時に、『違いを見つけ出す洞察力』を学ぶ機会となるので、本当の意味でのスペイン人の能力アップに繋がるものです。

スペイン人へのアドバイスとなりますが、日本人の強い点で、日本人と競争する必要はありません。逆に、手助けやアドバイスを伺う形で、日常業務の中で、日本人のこの能力を有意義に利用するべきです。日本人からたくさん学ぶことができます。そして、その上、日本人駐在員は頼ってくれることを喜びます。多くの場合、日本人駐在員は、 現地の人材を教育することが任務と考えていますが、どうすれば良いのか分からない状況にいます。ですから、スペイン人が『謙虚』な態度を見せて「学んでくれている」と感じると、日本人駐在員は任務を果たせていると感じます。それは、まさに自らの存在意義の肯定となります。更に、上述したように、良い関係が築けるので、スペイン人にとっては、「一石二鳥」です。日本人駐在員の『心の最初の分厚い壁(*2)』を破る信頼と、『違い』に気付くことが出来る新しい能力(技術)を獲得することになります。能力なので、もし望むのなら、学ぶことも、発達させることもできるものです。

(*2)日本人の心とスペイン人の心の比較

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