2021年2月25日(木)の ESDEN ビジネス・スクールでのインタビュー(ESDEN Talks(その2)

2021年2月25日(木)スペインのビジネス・スクールESDENのインタビュー(ESDEN Talks)の内容その2

YouTube 動画のURL:  https://www.youtube.com/watch?v=I2xeb08CeVs&t=22s

 

(質問 4)

今述べられたことの結果として、文化の違いを乗り越えるために、西洋では、日本の文化、伝統、そして、歴史のどのような点を認識しなければならないのですか? 

(回答 4)

さて、文化の違いについて話をする際、まず、言わせてもらいたいことは、この違いは、『生まれ持って』のものではなく、『教育(環境)』によるものだと言うことです。従って、文化の違いは、負かすことができないとか、超えることができないとか言うものではありません。この日本的『マネージメント(経営管理)』は、紛れもなく、スペインで実践できるものだと私は信じています。

その点を考慮して、二つの文化(スペインと日本)は、ある意味で、同じ硬貨の表と裏だと言わせてください。すなわち、見た目では、相交えない両極端に思われますが、実は一緒のベース(硬貨)だと言うことです。

例えば、スペインの鋸の刃は、押すことで木が切れるように作られていることを知っていますか?しかし、日本の鋸は、引くと木が切れます。また、例えば、スペイン語で、「Quiero comer algo dulce.」というと、日本語では、「甘いものが食べたい」となり、(スペイン語を日本語の順番で並び替えると、)「Dulce algo comer quiero.」となります。この文は、言葉が完全に正反対に並んでいますよね。

これが、日本と西洋の大きな違いです。疑うことなく、日本人と仕事をする時は、この違いを認識するべきです。つまり、日本人は、皆さんにように考えない、真逆の形で物事を考えると言うことです。従って、皆さんが最初に考えることを、私たち日本人は最後に考えると言うことを理解する必要があります。

しかも、日本人の会話は、-1+1+1= 1の方程式に則って構成されていることを理解する必要があります。つまり、日本人は、最初に結論(意思)を示しません。そして、『心配性』な文化のせいで、いつも最初の言葉は、ネガティブか、懐疑的な(-1)ものです。それに対して、スペイン人は、結論(意思)を示すことから始め、1 =+1+1-1の方程式で(会話を)構成します。

従って、日本人と話をする時には、忍耐強くなってください。そして、(日本人が)最初に言い出したことで、その人(ないしはその人の意見)を評価判断するような先走をしないようにしてください。

 

 

(質問 5)

スペインにある日本企業の管理職としての経験から、日本の会社では、経営(会社運営)の仕方が異なりますか?経営陣は、どのような特徴を持っていますか?

(回答 5)

はい、経営の仕方に違いがあるのは確かです。

例えば、スペインでは、『人的資源(Recursos Humanos)』と呼ばれている課が、日本では、『人事(Asuntos Humanos)』と呼ばれています。なぜなら、従業員を「資源」とは呼ばないからです。この考え方は、日本の企業文化のベースです。日本で「経営の神様」と呼ばれた『Panasonic』創設者、松下幸之助氏は、「企業は人なり」と唱えています。会社の従業員をケアーする文化が、日本では一番重要視されています。

しかし、この言葉は、「人(のカリスマ性や能力)に依存する」ことを意味するのではなく、全員を参加させるようにするとか、会社の運命の責任を負わせることを意味します。

このテーマを話し始めると、とても長くなります。それを避けたいので、ここでは、『資源』ではなく、『人』のマネージメント(取り扱い)が鍵と言うことだけに留めておきます。 

また、スペインや欧州に所在する日系企業で、この考え方が、申し分なく実践されているところはないと告白しなければなりません。それは、欧州の日系企業は所帯が小さく、本社の人事担当者が直接介入していないからかも知れません。ほとんど全ての会社で、『人的資源』と銘打たれた課を、スペイン的なやり方で、スペイン人が担当しています。

企業がその従業員のものとなるためには、一つの企業『文化』を確立しなければなりません。欧州の日系企業の子会社には、その親会社の企業文化の導入が欠けているように見えます。もっと各社の独自の企業文化をケアーすべきだと考えます。なぜなら、その企業文化こそが、企業の成長の原動力になって来ただけでなく、他社との差別化もして来たものだからです。本当に、残念なことです。

 

 

(質問 6)

最後に、今視聴している人の中には、日本の文化に惹かれている人もたくさんいると思います。そして、日本の会社に勤めたいと思っているかも知れません。そんな人たちに、雇ってもらうために必要な知識、能力や態度について、そして、入社後の会社でのキャリアを成功に導くような何かアドバイスをしてくれますか?

(回答 6)

私の意見を言わせて頂ければ、日本の企業で働きたいとか、又は、日本企業と商売をしたいとか考える人たちを手助けする3つの態度と3つの行動があります

最初に、3つの態度ですが、それは、『忍耐』(最後まで話を聴く)、『謙虚』(学ぶ力)、そして、『犠牲』(理解しようとする努力)です。

まず、少し前に述べさせてもらったように、考えを組み立て(日本流にまとめ)、そして、会話で結論が言えるように、日本人に時間を与えてください。次に、あなたがどれほどの価値を持っているかを明示したり、主張したりする必要はありません。その代わりに、日本人から学びたいと思っている態度をしっかりと示してください。鍵は、あなたがどれだけ示せるかではなく、あなたの中に(価値を)見出してもらえるかだからです。つまり、日本人と競り合うのではなく、日本人に慕う(拠り所とする)ことです。そして最後(3つ目の態度)は、日本人にあなたを分かってもらうことを期待する代わりに、日本人を理解するように努めることです。日本人と長い関係が持ちたいのなら、鍵は、日本人に近づくことです。 

さて、3つの行動とは、『報・連・相』 - 報告、連絡、そして、相談です。

これらの3つの行動は、一つの会社組織の全てのレベルで情報の流れを向上させるための『黄金律』であり、会社の将来を左右するものだと確信します。

人と仕事をする限り、資源ではなく、人とチームを組まなければなりません。その結果、チーム内で個人差に直面します。しかし、どうぞ、それを恐れないでください。そして、その個人差を『殺さない』でください。なぜなら、その多様性(相違)から豊かさや成功が生まれるからです。等質性(相違がないところ)から、新しいアイデアは決して生まれません。必要なのは、その違いを管理する、又は、運用することです。

『報・連・相』 - 報告、連絡、相談 – と言う行動は、その多様性(相違)をコントロールし、そして有効活用するトゥールだと言わせてください。組織の全てのレベルで実践されるべきで、言葉を換えて言うと、もし、『チーム作業』をしたいのなら、チームの全員が、適切なやり方で報告、連絡、そして、相談の3つの行動を実践しなければならないと言うことです。

今、このトゥールについて詳細にわたって話をする時間はありませんが、これこそが日本スタイル(流)の本質だと言えます。

どうぞ、取り違えや誤解をしないでください。日本の社会ないし会社は、等質性(皆一緒)の恩恵を受けていると信じられているかも知れませんが、私の意見では、それは事実ではありません。『十人十色』と言うもう一つのことわざがあります。(まず、)10色、そして、違いを認識し、受け入れます。しかし、少し前にお話ししたように、全員と共通の約束事、すなわち、ベクトルを共有します。それこそが、日本スタイルの経営の鍵です。

日本流の良い経営者とは、人(従業員)に対して共通のベクトルを形成させるビジョンを提供できる能力を持っている人です。(経験や知識を持っているだけではありません。)従って、日本の会社では、ビジョンを持つ人が成功を手にします。要するに、知識や経験は創造力を要求されませんが、ビジョンを形成するためにはそれが要求されます。作り出す力(創造力)が必要です。

私の意見ですが、成功を収める日系企業の秘訣は、(従業員に対して共通のベクトルを形成させる)ビジョンを有する独自の企業文化を持つことだと考えます。

 

今日、このような機会を与えて下さったことを感謝します。インタビューが上手く行ったことを期待します。

(インタビュー終了。)

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